ネットニュースで、正社員の介護職の平均年収は約380万円と報じられていました。
「そんなにもらってない!」という声が聞こえてきそうですね。
ただし平均年収は中央値なので、全ての介護職の年収が380万円というわけではありません。
年収200万円台の方もいれば、年収500万円~600万円台の方も確実にいます。
「人の命を預かる仕事なのに賃金が安すぎる」
「今の収入ではやっていけない」
「ウチの給料、安すぎない?」
同じ介護業界に身を置くものとして、気持ちはよく分かります。
年収500万以上の方と私たちの違いはどこにあるのでしょう?
実際のアンケート調査をもとに、介護職が年収を上げる方法3選を紹介します。
介護職の年収が低い理由
介護職の年収は年々増えているものの、全産業平均と比べると約75万円の開きがあります。
出典:朝日新聞デジタル
介護職の年収が低いのは、3つの理由があります。
介護報酬の上限が決まっている
人件費の割合が高い
内部留保を貯めこみ過ぎる
介護報酬の上限が決まっている
介護職の給料は、利用者の介護保険料と公費によって賄われています。
事業者は利用者にサービスを提供することで、介護報酬を得ます。
受け入れられる利用者数は定員があるため、上限以上の介護報酬は得られません。
さらに介護報酬は3年ごとの介護報酬改定によっても増減します。
人件費の割合が高い
介護という仕事の性質上、ほかの産業と比較して人件費の割合が高い傾向にあります。
施設介護では支出の60~70%、訪問介護では90%を占めると言われています。
たとえば飲食業の人件費は20~30%が一般的であるため、その差は歴然です。
内部留保を貯めこみ過ぎる
内部留保とは経営者が経営を安定させるために、社内に貯めておく資産です。
万一トラブルが起こった際、事業を継続させるために貯金は必要です。
しかし、内部留保が増えすぎると職員に還元できる給料が少なくなります。
施設規模に給料が見合わない場合、内部留保を貯めこみ過ぎの疑いがあります。
年収500万以上の介護職3名のモデル
介護職の方向けのアンケート調査で、年収500万以上と答えた3名の方を紹介します。
役職:マネージャー
年齢:45歳
勤務地:千葉県
施設形態:特別養護老人ホーム
手当:夜勤手当、宿直手当、扶養手当、住宅手当
役職:主任
年齢:42歳
勤務地:北海道
施設形態:特別養護老人ホーム
手当:配偶者手当、住宅手当
役職:副主任
年齢:45歳
勤務地:千葉県
施設形態:特別養護老人ホーム
手当:配偶者手当
年収500万円以上の介護職の共通点
3名のモデルを見ると、年収500万以上の介護職には共通点があるのが分かります。
勤務場所は特別養護老人ホーム
役職に就いている
複数の手当てを受けている
勤務場所は特別養護老人ホーム
厚生労働省の調査から、特別養護老人ホームの平均年収が一番高いことが分かります。
夜勤のない通所介護事業所との差は月6.7万、年間80万を超えています。
ただし、あくまで平均年収のため、特養に就職すれば必ず以下の年収が得られるわけではありません。
施設形態 | 平均年収 |
---|---|
介護老人福祉施設(特養) | 4,147,080 |
介護老人保健施設(老健) | 4,060,680 |
介護療養型医療施設 | 3,443,840 |
介護医療院 | 3,690,600 |
訪問介護 | 3,775,080 |
通所介護 | 3,338,160 |
通所リハビリテーション | 3,575,760 |
特定施設入居者生活介護 | 3,837,120 |
小規模多機能型居宅介護 | 3,474,240 |
認知症対応型共同生活介護 | 3,497,520 |
役職に就いている
私も経験がありますが、役職に就くと基本給とは別に職能給が付きます。
月々のベースがアップすることで、年収アップにつながります。
毎年の昇給額は微々たるもの、職能給をもらった方が年収アップには近道です。
複数の手当を受けている
年収500万超えの介護職の方は、職能給以外に夜勤・配偶者・扶養・住宅などの手当を受けています。
独身の方であれば、夜勤手当や資格手当などによるベースアップは必須です。
介護職の年収を上げる方法3選
アンケート結果から、勤務地や勤続年数はあまり年収と関係ないことが分かります。
この結果をもとに介護職の年収を上げる方法を3つ紹介します。
・キャリアアップする
・夜勤手当で稼ぎまくる
・転職する
キャリアアップする
管理職やケアマネージャーなど、キャリアップを目指すことです。
求められる能力や責任が高くなるため、確実に収入は増えます。
しかも管理者や施設長になるために資格は特に必要ありません。
逆に言うと、同じ仕事を続けていては年収は増えないということです。
夜勤手当で稼ぎまくる
とは言え、役職を務める自信がないまたは現場の仕事が好きな方もいると思います。
そんな方にお勧めなのは、夜勤手当で稼ぐことです。
施設によって2交代制と3交代制があり、手当の金額は施設によって異なります。
夜勤手当の平均は以下の通りです。
2交代制夜勤 6,011円
3交代制準夜勤 3,712円
3交代制深夜勤 4,614円
転職する
キャリアアップはしたくないし、夜勤手当も安いという方は転職するのもありです。
ほかの求人情報を確認してみれば、給与ベースが高い施設が見つかるかもしれません。
とはいえ、働きながら求人を探すのは時間が限られるため非効率です。
そんな時は、内部情報に詳しい転職サイトのアドバイザーを頼ることをお勧めします。
介護職の年収は今後どうなる?
2022年に処遇改善臨時特例交付金として、同年の2月から9月まで介護職員の賃金が一律3%(9,000円)引き上げられました。
10月以降も介護職員ベースアップ等支援加算によって、賃金の改善が続けられています。
長年待遇が悪いと言われ続けてきた介護業界ですが、給与事情は追い風にあります。
ただ、分配権限は事業所に一任されているため、すべての介護職員に行きわたっている訳ではないようです。
処遇改善加算が給与に反映されていないとか、事業所が加算取得に積極的でない場合には職場の見直しを検討してみてはどうでしょうか。
介護職で年収500万は決して夢なんかじゃありません。
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