こんにちは。
サトシーサー(@satoseasurf)です。
今まで様々な疾患を持った高齢者の方を見てきましたが、絶対になりたくない病気があります。
それは認知症です。
今のところ完全な治療法は無く、進行速度を抑えるしか手がありません。
高齢化が進む中、認知症患者数は年々増加傾向にあります。
2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症患者になると推測されています。
認知症高齢者数の推計|内閣府
認知症は対応を誤ると症状を進行させてしまいます。
そこで介護現場で認知症介護を経験してきた私が、対応のポイントを解説します。
認知症介護における7つのNG行為
認知症介護でやってしまいがちなNG行為として、次の7つがあります。
コントロールしようとする
行動を抑制する
子ども扱いする
急かす
失敗を責める
過剰に介助する
否定する
認知症介護の基本は否定しないことです。
ただし、自分の誤りを認められない状態まで症状が進んだ場合に限ります。
認知症の前段階のもの忘れには、やんわりと訂正してあげる必要があります。
コントロールしようとする
言うことを聞かせようと、無理やりコントロールしようとしてはいけません。
認知症の方は無理強いをされると、ムキになって反発しようとするためです。
理解はできなくても、相手の話を聞く姿勢を見せましょう。
行動を抑制する
危ないからといって行動を抑制するのは逆効果となります。
認知症の方の意に反した対応は不安や混乱、苛立ちなどのマイナス感情を生むためです。
様子を見守りつつ、時には自由に過ごしてもらう時間が大切です。
子ども扱いする
人を褒めるのは関係性を良好にしますが、褒めかたには注意が必要です。
「○○したらダメ!」、「えらいわね~」などと子ども扱いするのはNGです。
相手の自尊心を傷つける言動は慎みましょう。
急かす
認知症の方はADLや見当識の低下によって、行動のひとつひとつに時間を要します。
行動を急かすと相手を不快にさせるばかりか、介護拒否にも繋がりかねません。
相手のペースに合わせて「ゆっくり」が基本です。
失敗を責める
症状が進むにつれ、認知症の方は間違いや失敗が徐々に増えます。
症状を理解せず、相手を責めると関係が壊れてしまいます。
失敗したことは忘れても、「怒られた・怖い・嫌い」という感情だけが残ります(感情残像の法則)
過剰に介助する
できないことが増えると、介護者の介助も増えてしまいがちです。
しかし、自分で考えることが無くなると認知症の進行に繋がります。
過剰な介助は本人の自信や存在価値まで奪ってしまいます。
できないことより、本人ができることに目を向けましょう。
認知症介護の重要ポイント
では本題に移ります。
認知症の方も介護者もストレスを感じない対応法を紹介します。
レンズを変える
認知症の方と介護者とでは、見ている世界が異なります。
例えるなら、介護者は目に見えないメガネをかけている状態です。
すなわち、自分の常識・価値観・思い込みの度が入ったメガネで世界を見ています。
これでは世界が違う認知症の方の言動を理解できる訳がありません。
介護者はメガネのレンズを変える必要があります。
→「お腹が空いているようだから、軽いものでも渡そう」
「そろそろ家に帰ります」
→「家族の方に面会に来てもらえるよう頼んでみよう」
「財布がなくなった」
→「それは大変!一緒に探してあげよう」
受け止め方を変えるだけで、余計なストレスから解放されます。
肝心なのは、相手を説得しようとするのではなく、納得してもらうことです。
終わりを思い描く
ではレンズを変えるには、具体的にどうすれば良いでしょう?
それには認知症の方の最期を想像してみることです。
いつか認知症の方も人生の最期を迎えます。
何度も同じ訴えをしてきたあの人が話さなくなり、夜中に歩き回っていたあの人も寝たきりになる時が来ます。
認知症介護は想像以上に大変ですが、永遠には続きません。
いつか訪れる最期を思い描いて、認知症の方と共に今を大切に過ごしましょう。
まとめ
認知症の方の性格や症状、進行速度は人によって異なります。
Aさんには効果があった対応が、Bさんに効かないことはザラにあります。
どれだけAI化が進んでも、人の代わりに認知症介護を担うのは難しいでしょう。
認知症介護に必要なのはスピードや効率化ではなく、読解力だからです。
相手に合わせて自分のレンズを変えられるのは人間だけです。
最後に、認知症ケアのプロである和田行男さんの言葉を紹介します。
「なりたくて認知症になる人はいない。目の前の人はなりたくないのに認知症になってしまった人」
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