あるアンケートによると、介護職員が苦手な業務の第一位は介護記録の記入らしいです。
介護の仕事は利用者を介助した後に記録が必要です。
しかし、書き方を教わることもなく何となく書いている人が多いのではないでしょうか。
「何をどう書けばよいのか分からない」
「記録に時間がかかってしまう」
「ほかの職員に内容が伝わるか気になる」
そんな悩みを持つ方向けに、介護記録の書き方のコツを紹介します。
コツさえつかめば、誰でもスラスラ書けるようになりますよ。
介護記録の目的
介護記録の目的は主に3つあります。
・サービスの継続性・統一性を図るため
・介護給付申請を行うため
・トラブルや訴訟発生時の法的証拠とするため
介護記録の書き方のコツ
では介護記録を書く時のコツを紹介します。
5W1Hを明確にする
何を書けば分からない人は「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」を明確にしましょう。
記録を見るのは、介護職員だけとは限りません。
重視するポイントが異なる人に内容が伝わるように、5W1Hを明確に書く必要があります。
介護職員|生活全般における変化
看護師|健康状態の変化・服薬調整の結果
リハビリ職員|身体機能の変化
ケアマネジャー|サービスはケアプラン通りであるか
管理栄養士|固さや食事形態が適切であるか
ご家族|体調の変化、他の利用者との関わり
主観ではなく事実を書く
介護記録に必要なのは事実であって、主観ではありません。
個人的な見解は必要ないということです。
ここで例を挙げて解説します。
利用者が床で横になっているのを発見した場合、
X 朝方、Aさんが転倒しているのを発見した。
〇 8時に訪問した際、Aさんが仰向けになって床で寝ているのを発見した。
Aさんが転倒する場面を実際に見た人はいません。
Aさんは自分で床に寝転がっただけかもしれません。
それに朝方とは午前6時から午前9時までを指すため、表現があいまいです。
家に帰りたがっている利用者がいた場合、
X 夕方頃、Bさんに帰宅願望が見られた。
〇 16時過ぎにBさんが「夕飯の支度に帰らないと」と言われていた。
「帰宅願望」だけでは、なぜ帰りたいのか分かりません。
Bさんの話した言葉を記録することで、ほかの職員が対処する際に役立ちます。
「夕方頃」ではなく、何時ごろの話か分かるように記録します。
簡潔明瞭に書く
記録は分かりやすく書くことも重要です。
多くの情報を一度に詰め込め過ぎると、何が言いたいのか分からなくなります。
ひとつの記録にはひとつのテーマについて書くことを心掛けましょう。
長々と文章を書くより、箇条書きを使うと見やすくなります。
また、ご家族が見ることを考えて略語や専門用語は控えるのがベターです。
ケアプラン通りに進められたかを書く
介護内容だけ書く人がよくいますが不十分です。
ケアマネジャーにとっては、ケアプラン通りにサービスを提供できたかどうかが大事だからです。
もし不都合があればケアプランの見直しが必要なため、その点を意識して書く必要があります。
介護記録の例文
上記のことを踏まえた介護記録の例文を紹介します。
介護記録を効率的に書くコツ
記録に時間がかかってしまう人は、テンプレートを使うことをお勧めします。
毎回言い回しを考える時間が省けるので、記録にかかる時間を大幅に短縮できます。
メモを取っておくのも正確に記録を残すために重要です。
時間が経ってから書こうとすると、
「あれ~、何だっけ?」
と必要な情報を忘れてしまいがちだからです。
特に「いつ」の出来事かを書く場合にメモは必須となります。
まとめ
介護記録とは利用者の情報管理を行うものであると同時に、利用者の生きた証でもあります。
排泄のことばかり書かれた記録は、生きた証とは言えませんよね。
介護記録は、利用者のご家族が読まれることもあります。
利用者の様子や言葉など、普段の生活がイメージできる内容を記録することが大事です。
文章が上手いとか下手とかはそれほど重要ではありません。
起承転結も必要ありません。
介護記録を書くうえでもっとも大事なのは、読んだ人に正しく内容が伝わることです。
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